当農園の想い

米と風景づくり

「雨滝ほたるの里」の棚田で米と風景づくりをしています。
源氏ボタルが乱舞する田植えのとき、畦草刈りや田んぼの草取りの暑い夏を過ぎ、秋晴れに黄金色の稲穂が揺れるとき、生きていること、生かされていること、世界一の幸せ者を実感します。
そして、輝く米を手に取るとき、子や孫、地域の幸せな未来を想うのです。
この風景は、千年の昔から人々が農の暮らしの中でつくり繋いで来た宝物。
時代のささやかな一時期を生きる者として、千年の先を想いながら繋いでいかなければならない役割を実感するのです。

若い頃は、4人兄弟の子どもたちを育てながら地域の役を引き受け、高い農業機械を買い、儲からない米づくりをする両親とよく親子喧嘩をしました。
米づくりを止めて米を買い、あるいは都会に出たらどんなに楽なことかと思いました。

40歳になった頃、「農業を軸とした地域づくり」というテーマで海外視察の機会を得、ドイツ、スイスなどを訪れました。

特にスイスでは、アルプス山麓農村に代表される美しい農村風景に感動しました。この風景は、元々あったものではなく、氷河によって侵食された斜面の森林を伐採し、放牧地に変えた風景であり、そこには、厳しい労働力が投下されたことが容易に想像できます。
スイス農業省の担当者が述べた、「スイスに農業がなければ、また森になってしまう。」という言葉は、日本における水田の原風景と重なるものがあり、「日本に水田がなければ、農村はなくなってしまう。」という思いを起こさせたのです。

50歳の頃父が病に伏し、初めて自分で米を作りました。
初めて一人で作った稲の稔りに、風景の美しさに感動し、米づくりの喜びを実感しました。
以来、家族をつなぎ、風景をつくり、人々に感動と幸せ、地域を持続させる米を目指して米づくりをしています。

子や孫、心通い合わせる人々、そして千年の未来にこの米と風景を贈ります。