農の風景は語る

農の風景は語る

農の風景は語る。

田んぼの排水畦を整備を切り上げ、いつかやらなければならないと思っていた、ほたるの河原の雑草木の除去。
実はこれは立派な農作業、川を越えてやってくるイノシン対策です。
チェーンソー作業のあと、改めて河原を眺めました。

ほたるの里づくりを始めた7年前。

父親が病に倒れ、米作りに目覚めた20年前。

土地の古老も経験したことがない台風の洪水に見舞われ、その後河原が100mコンクリートに覆われた19年前。

堤防から30m幅の洪水跡の荒れ地を田に戻し、今の風景をつくった21年前のほ場整備。

向かいの山から、残すべきか残さざるべきかと、曲線美、美しい音田の棚田を眺めた23年前。

訪れたスイス山麓の美しい村に、我がふるさとの山河を重ね合わせた26年前。

役場に勤めながら、いやいや親の米作りを手伝った40年前。

両親と洪水跡を田んぼに戻した50年前。

劇薬の農薬が田んぼに撒かれ、多様な魚、昆虫、小動物などが失われた約50年余り前。

小さな畦道を懐中電灯手に、乱舞するホタルを見に行った55年前の幼い頃。

親から聞いた話、戦争からの復員時、表川の全ての橋が流され、向山が崩れ、川がせき止められ、ほたるの河原の田んぼも流された昭和20年、74年前。

農の風景は取り戻せる。
歴史に耐えたものだけが、真実の風景。
ホタルは昔も今も変わらず、人のまぶたに熱い感動を浮かべている。

しかし、雨瀧ほたるの里も、未だにコンクリート敷きにはホタルはいない。